第1回 「20××年 未来の湘南で物件を相続するポイント」

第1回 「20××年 未来の湘南で物件を相続するポイント」

「海」のイメージの茅ヶ崎、「古都」の落ち着きを持つ鎌倉、「住みやすさ」の藤沢など、湘南エリアはさまざまな側面を持ち、人気の地域です。このコラムでは将来的に湘南エリアの物件を相続する可能性がある方に向けて、地域の魅力や相続の手続き、注意点などを解説します。ぜひ最後まで読んで、参考にしてください。

1. 湘南の地域と不動産市場の特徴

1-1. 湘南の住みやすさについて

「湘南」と言えば「海」というイメージもありますが、落ち着いた雰囲気の鎌倉を含む地域でもあります。程よい田舎さを持ちながらも、実は首都圏にも通勤圏内の場所が多数あり、利便性も比較的良いと言えます。

具体的には藤沢駅ならJR東海道線で品川、新橋に50分程度、JR湘南新宿ラインを使えば渋谷にも新宿にも1時間程度で行くことができます。茅ヶ崎駅からでも品川、新橋に1時間程度で到着できますから十分に首都圏への通勤が可能です。

1-2. 湘南の不動産市場について

湘南エリアは不動産所有希望者にも、賃貸物件居住希望者にも人気があります。JR東海道線沿いで藤沢駅周辺の家賃相場は横浜駅周辺とほぼ同等の価格帯です。また江ノ島電鉄沿いでは由比ヶ浜駅、和田塚駅は横浜駅周辺を超える相場を持っていることからも、その人気と価値を理解することができます。

利便性については前の項目で上げたように藤沢駅、茅ヶ崎駅周辺なら十分に首都圏への通勤が可能ですが、電車の混雑や道路の渋滞緩和について、現在もさまざまな改善が計画されています。代表的なものは相模鉄道のJR直通線が2019年に東急直通線が2022年に開通予定です。他にも新幹線の駅追加や、いずみ野線延伸計画、横浜藤沢線の道路計画などでさらなる利便性向上が見込まれます。

参考: http://www.pref.kanagawa.jp/docs/ex5/road/yokohamafujisawa.html http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/p19869.html https://www.city.fujisawa.kanagawa.jp/tosikei/machizukuri/toshi/shisaku/izuminosen-enshin.html

2. まずは不動産の相続に必要なものを確認しよう

2-1. 相続のフロー

相続する対象物件の持ち主だった方が亡くなられた時点から相続が発生します。葬儀などに続いて遺言書の確認や相続人による遺産分割協議、その内容から協議書を作成し、遺産の中に不動産があれば登記手続きへと移行していきます。

2-2. 相続発生から相続登記手続きまで

その後相続のための「登録登記」という手続きをする必要があります。下記に揃えなければならない書類や登録登記にかかる費用を簡単に解説します。

2-3. 相続登記に必要な書類

相続登記に必要な書類は以下の9点です。面倒なものもありますが、相続する本人の住民票など簡単に入手できるものもありますし、法務局でも書類の書き方などはガイドしてくれます。どうしても自分自身では難しいと思う場合は費用が発生しますが、司法書士事務所などで代行してもらうことができます。

・所有権移転登記申請書(法務省のHPからオンラインで登記することも出来ます)
http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/minji79.html

・相続する不動産の登記簿謄本
全国の最寄りの法務局に所在地などを届け出れば、誰でも入手することができます。

・被相続人(亡くなった方)が除外された住民票
無くなった方が居住されていた市町村の役所で相続人が入手することができます。

・物件の固定資産評価証明書
物件がある市町村の役所で入手することができます。

・物件を相続する人の住民票

・相続する人全員分の印鑑証明書

・遺産分割協議書
相続人の全てが実印を押した、遺産分割の協議内容を示すものが必要です。遺言がある場合はそれを提出します。

・物件を相続する人の戸籍謄本
相続する人の本籍地がある市町村役所で入手できます。

・故人の全ての戸籍謄本
故人が生まれてから無くなるまでに本籍地を移動していた場合、全ての市町村役所にて入手する必要があります。

2-4. 相続登記にかかる費用

相続登記には以下の種類の費用がかかります。

・登録免許税
2-3で記載した「物件の固定資産評価証明書」に記載された金額の0.4%がかかります。(1,000円未満は切り捨てます)

以下に固定資産評価額が1,000万円から5,000万円の場合の登録免許税を記載します。
1,000万円の場合、1,000万円×0.4%=4万円
2,000万円の場合、2,000万円×0.4%=8万円
3,000万円の場合、3,000万円×0.4%=12万円
4,000万円の場合、4,000万円×0.4%=16万円
5,000万円の場合、5,000万円×0.4%=20万円

・書類作成を依頼した場合の報酬
司法書士に書類などを依頼した場合にかかる費用で、自分自身で手続きを行えば発生しません。価格に法的な決まりなどはありませんが10万円程度が相場で、扱う物件の価格が高い場合や、書類作成のために遠方、あるいは複数の地域に出向かなければならない場合などは費用も大きくなります。

多くの司法書士事務所が概略の価格や見積を提示してから手続きを開始しますし、初回相談は無料で行っているところも多くありますから、信頼できそうなところを探しましょう。

3. 不動産の相続税の計算方法

3-1. 不動産の相続で相続税がかかるケース

不動産を相続する場合には、物件の価値に応じた相続税がかかりますが、一定の金額の免除があります。まず物件の価格に寄らず3,000万円は控除されますから、資産価値が3,000万円以下であれば、結果的に相続税は発生しません。

また、相続人が故人の配偶者であれば1億6,000万円の控除がありますし、配偶者でなくても相続人一人あたり600万円の控除があります。

つまり物件の価値よりもこれらの控除額が大きければ、相続税は発生しないわけです。

3-2. 相続税の計算

かなり簡単にまとめると、相続性は相続する物件の資産価値から増税免除額を差し引いたものに税率を掛けて算出します。計算式にすると以下のような形になります。

相続税 = (資産価値 – 税金免除額) × 税率

この税率は資産価値によって10~55%まで変動します。

ここでは概略をお伝えするために非常にわかりやすく書きましたが、実際には煩雑な計算や手続きがあります。ある程度の資産価値があると見込める時点で、プロの弁護士や会計事務所に依頼することをお勧めします。

4. 物件を相続したら最初に注意すべき点

4-1. 物件の条件を確認し、賃貸として経営継続か売却かを判断する

物件を相続した場合、まず築年数などから見た物件そのものの状態や、立地などを踏まえて、どのように扱うべきか考える必要があります。賃貸物件として回収の目処が立つようなら全面的にリノベーションを行う方法もありますが、その判断は一般的には難しいのでプロと相談しながら進めることが大切です。

賃貸物件としては難しい、という判断になれば売却を視野に入れる必要も出てきます。

4-2. 賃貸の場合、築年数や立地から借り手が付く方法を検討する

既に賃貸をしている物件で経営継続を選択した場合、効率よく借り手が付くことを考えなければなりません。湘南と言えば海の近くである可能性があり、シーサイドビューが望める物件なら人気もありますが、塩分を含む海風による経年劣化も含めて運営にかかる費用を考慮する必要があります。

このような判断は湘南エリアの物件を扱うことに慣れている不動産管理会社ならではのノウハウがありますから、地域に根付いた業者に相談しましょう。

5. 湘南で未来の物件オーナーを営むにあたり意識したいこと

5-1. 少子高齢化が進み、若年層の借り手が減少傾向に

近年は少子高齢化が進み、全国的に若年層の借り手は減少する傾向が見られますが、「湘南」という地域性は若者だけでなく高齢層にも人気があります。「老後は海が見える所で暮らしたい」、「首都圏へ少し遠くなっても都会の喧噪より自然が豊かで穏やかな場所を選びたい」といった需要があるからです。

5-2. 湘南は老後の住まいの地として人気

高齢者層を取り込むにはフルリノベーションをしてでも、全体にバリアフリー設計を取り込む必要があります。ユーザーのニーズを絞らずに何となくきれいにするだけでは、せっかく費用を掛けてリノベーションを行ってもぼんやりとした物件にしかなりません。

「ある程度高齢者向け」などユーザーを限定し、同程度の物件よりも「高齢の方が暮らしやすい住まい」をアピールできるようなストロングポイントを増やすことが差別化の肝になります。

5-3. 若年層を取り込む場合、湘南のブランドや利便性をアピール

若年層の借り手をターゲットとするなら、高齢者向けのバリアフリーを前面に出したリノベではなく、海に面していたり鎌倉などの名所が近かったりすること、あるいは治安の良さや生活面での利便性の高さなどの場所の良さを前面に出した売り方を行いましょう。

また、リノベーションでオシャレさやかっこよさといった訴求力を高めることが必要です。物件の広さによっては子育てに特化したバリアフリー設計を考えても良いでしょう。言葉の上では同じ「バリアフリー」でも、乳幼児を意識したものと高齢層を意識したものでは内容も変わってきます。

6. まとめ

湘南エリアでの不動産物件の相続についてまとめました。

不動産の相続登記については面倒な処置もありますが、一定の資産価値が認められれば手続きのプロに任せて、相続後どのように運営していくかを考えることが重要です。

「湘南エリア」の物件は若い方から高齢の方にまで人気があり、賃貸運営の有利さを持っています。賃貸物件の相場価格が横浜駅周辺と同等か、より高い金額で貸し出すことができるというのは上記で述べた通りです。

一方、ユーザーの要求度は年々アップしていますし、海に面した地域であれば、湘南地方特有の潮風による経年劣化なども考慮しなければなりません。

これらを踏まえて、湘南エリアの物件管理に慣れた不動産会社に管理を依頼されることをお勧めします。