第5回「不動産テクノロジーで湘南の物件事情はどうかわるか」

第5回「不動産テクノロジーで湘南の物件事情はどうかわるか」

「不動産テクノロジー」とはITやスマートフォンの普及によって不動産の在り方が変わっていくことを表しています。数年前まで不動産業者が紙やスタンドアローンのPC内で管理していたデータが、今ではビッグデータ上にあります。ユーザーは世界のどこからでもそのデータにアクセスできるので、マッチングのチャンスが劇的にアップする可能性を持つようになったのです。このコラムでは不動産テクノロジーが湘南の物件事情にどう影響を与えていくかという事を解説します。

 

1. 不動産テクノロジーで不動産業界はどう変わる?

ユーザーが不動産の情報を手軽に収集でき、シェアできるようになる

不動産テクノロジーは「不動産テック」または「Re Tech(Real Estate Tech)」とも呼ばれる技術です。
これは過去にはほとんどアナログだった不動産業界がデジタルの世界またはWeb上の世界にさらされたことで起こるビジネスチャンスと考えられています。

具体的に言えば、10年前には不動産の情報は特定の不動産業者だけが紙ベースで持っていました。この場合、消費者は住宅や事務所、店舗を必要とする場所の近くの不動産業者に出向き、どんな物件があるかをやり取りする必要があります。そしてわざわざ出向いても紙1枚程度に収まる情報しかなく、実際にその物件を見に行かなければほとんど詳細は分からないという事が当たり前でした。

しかし現在、物件情報はビッグデータの中にあり、数多くの仲介業者やユーザーがそこに容易にアクセスできます。データとしても間取り図と数枚の写真しかなかったものが、今では間取りや特徴がタグ付けされることで、求める条件ごとに検索が可能で、動画で物件を見ることも出来るようになっています。

 

最終的な決定の前の内見はさすがに省略しにくいですが、その内見にも不動産テクノロジーの恩恵を受けられる部分があります。スマートロックの出現によって、家の鍵を一定の時間だけ開錠できるといったことが可能になり、鍵の開け閉めに不動産業者が立ち会う必要がなくなることが期待されるのです。

このように、大きな点から細かな点まで、「これまで当たり前だったけれど不便・非効率に感じていた」部分が改善されはじめています。今よりもっと不動産テクノロジーが浸透することによって、不動産管理の将来は劇的に変わることが予想されています。

 

不動産の売買や賃貸がよりスムーズになり、ハードルが下がる

ユーザーにとっては24時間いつでもデータにアクセスできるようになったことや、より詳細な情報が得られるようになったことで、物件選びにかかる時間は非常に短縮されました。不動産業者にとっても「電話やファックスで顧客情報や希望を確認して、見合う物件をファイルから取り出して伝える」という手間から解放されます。これは双方にとって売買や賃貸のハードルが下がったことになります。

これまで不人気だった物件であっても、マッチングが改善され借り手が期待できるようになる

遠隔地からでも物件を求めることが可能になり、情報にアクセスできる人が増えることは、それぞれの物件が閲覧されるチャンスが劇的に増えたことを意味します。見る人の数が増えれば、それを借りようとする人も増えることになります。そのため、これまで借り手がなかなかつきづらかった物件にもチャンスが訪れるでしょう。

2. 不動産テクノロジーの進歩で賃貸物件のオーナーにもたらされるメリット

借りたい人と物件のマッチングが改善され、空室対策になる

ここまで紹介してきたように、「不動産テクノロジー」の出現によって不動産管理の将来は大きく変貌しています。不動産オーナーにとっては絶好の空室対策の環境が整ってきたと言ってもいいでしょう。ビッグデータ上に物件情報があることによって、そこにアクセスする人の数は劇的に増えています。物件にアクセスする人の数が増えれば、借りようとする人の数も増えるため、不動産管理を行う会社だけでなくオーナーにもメリットが多いと言えます。

また、IoTやAIの発展も不動産テクノロジーの進歩の一つと言えます。これらが今より賢く、使いやすくなれば、事務処理の効率化や入居者とのコンスタントな連絡がスムーズになり、オーナーにとっての物件を貸すリスク・手間も軽減できます。

より事前に情報が把握できるため、借り手の満足度が向上する

ユーザーにとっても、条件検索などで希望する物件に近いものが選びやすくなります。例えば以前は電話や賃貸物件紹介雑誌などを利用し手探りで物件を探す必要があったのが、今ではスマホがあればわずか数分で検索できます。間取り、価格帯、駐車場の有無、セキュリティなどの条件を入力すれば、興味が無い案件を除外できるので、物件探しも非常に楽です。事前に多くの情報を入手できていれば、契約後に後悔することも少なくでき、顧客満足度の上昇やトラブル防止につながります。

ビッグデータを利用し、不動産管理やマーケティングがスムーズに

不動産管理を行う側にとっても、顧客データや物件データの管理が劇的に容易になります。データから傾向を掴み、より適した形の価格査定ができるだけでなく、期待値の大きいマーケティング戦略を立てることも可能でしょう。これまでデータの不透明な部分が生み出していた損失などをカバーできるため、新たなビジネスチャンスも期待できます。

3. 不動産テクノロジーが湘南の物件に及ぼす影響とは

湘南は人気の地域だが、立地によっては空室が目立つこともあった

「不動産テクノロジー」の出現は、「湘南」のように地域ブランドを有する物件にとってさらにチャンスが大きくなったことを意味しています。周囲に特徴が無い物件は、その物件が持つ魅力のみでユーザーの関心を引かなければなりません。しかし湘南のように立地そのものがブランド化している場合、それそのものが検索条件になるケースもあるからです。

不動産テクノロジーの活用で湘南に移住する人の増加が期待できる

「湘南」は前述の通り、立地そのものがブランド化しているため、これまで以上の人の移住が期待できるでしょう。関東で住みたい街の上位に常にランクインするのは「横浜」という名称ですが、これは神奈川県民から見た「横浜」のように限定されたイメージではなく、湘南も含むシーサイドの街というイメージが強いのも事実です。

もちろんアクセス面を気にする人にとっても、「首都圏にアクセスが容易でシーサイドが良い」という条件で検討すれば、候補になるのは千葉県か神奈川県です。こういった優先条件がある場合、湘南エリアは断然有利ですから、首都圏でシーサイドに住みたいという人のマッチングを勝ち取れるという可能性もあります。

上の例はわかりやすく「シーサイド」にフォーカスしましたが、首都圏にアクセス可能な「古都」というキーワードならやはり該当するのは鎌倉ですから、「湘南エリア」は計り知れないビジネスチャンスを持っているのです。

またIT関連の業務従事者が増えたことによって、Web環境があればどこでも仕事ができる人が多くなっているのも追い風と言えるでしょう。「ただオフィスに近ければいい」という考え方を捨て、住む地域自体にこだわりを持つ人も増えてきています。

空室率が改善され、地域活性化に繋がる

不動産テクノロジーがこれまで以上に浸透すれば、「人気が今ひとつだった物件にもスポットライトが当てられるようになる」「人気のある地域は更に人気になる」ということを説明してきました。立地としてブランドを持つ「湘南」は、もちろん他のエリアに比べて人気と言え、今後の不動産テクノロジー浸透による空室率の改善に大きな期待が持てます。

空室率が改善されれば、湘南エリアに移住する人の数も増え、地域活性化にもつながります。既に存在するデータとして、同じシーサイドでも少子高齢化による人口変動について、湘南エリアと千葉の沿岸部では劇的に違うデータがあります。国立社会保障・人口問題研究所によれば、2015年から2045年での人口減少の割合は千葉県のシーサイドエリアは良くても10%減、悪い場所では30%を超えるような減少が見込まれていますが、藤沢市では0.9%、茅ケ崎市は5.1%となっています。

4. まとめ

「湘南」は独身者から子育て世代、高齢者にまで人気があるエリアです。高齢層に人気があるという点から、これから激化する少子高齢化の波を見込んでも、湘南エリアは高いブランド力を持っていると言って間違いないありません。また「不動産テクノロジー」「Re Tech」がもたらす湘南エリアの不動産の将来性は、さらに余裕のある管理をもたらしてくれるでしょう。